禁煙外来編~Vol.1
たばこって何故うまい?
今回の相談者は、45歳で会社では課長職を務める雄一さん。
学生時代からたばこを吸い続け、たばこ歴は20年以上になります。
奥さんや子どもから「たばこは臭い」と言われ、ベランダでたばこを吸うホタル族。
たばこは良くないとはわかっているけれど、今のところ禁煙する気はありません。
なぜなら、たばこを吸えないとイライラして
ストレスがたまってしまい、仕事にも影響してくるから。
今日は家族に勧められ、しぶしぶマインズ先生のところにやってきました。
たばこはおいしい?そう思うのはニコチン依存だから
家族から禁煙をすすめられているのですが、なかなかやめられないんです。たばこはおいしいですからね。
たばこはおいしいと思うのは、ニコチン依存になってしまっているから。本来たばこはおいしいものではないんですよ。
そうかなあ。確かにおいしいと思いますけど。
たばこを繰り返し吸っていると、脳の中にニコチン受容体というものができてきます。たばこを吸うと血液中のニコチン濃度が急激に上がり、ニコチン受容体がニコチンを受け取って、脳内に心地よさを感じる物質ドーパミンを出す。それが「おいしい」と感じる原因になるんです。たばこ自体が本当においしいわけではないんですよ。
■ ニコチン依存症へのステップ
※参考:日本医師会「禁煙の医学」
じゃあ、おいしいと思うのは、そう思わされているだけってこと?
そういうこと。初めてたばこを吸って、おいしいと感じる人はまずいない。繰り返し吸ううちに、おいしいと思わされるようになっていき、脳がそう感じるようになると、たばこを吸うことをやめられなくなっていくという悪循環に陥ります。
たばこでストレス解消&リラックスできるって思いこんでいませんか
でも、たばこを吸うとストレスが解消されて、なんだかリラックスできるんですよね。
それも、実は思い違い。血中のニコチン濃度が下がってくると、今度は不快な気分を感じるようになって、落ち着きがなくなったり、集中力が落ちたり、イライラしたりといった状態になってしまいます。ニコチンの離脱症状ですね。たばこを吸ってニコチンが供給されると、そのイライラやストレスが解消されるので、たばこを吸えばストレス解消できる、リラックスできると感じてしまうのです。
なるほど。電車の中とか、レストランとか、しばらくたばこを吸えないとイライラしたりストレスを感じたりして、たばこを吸うと解消されます。それに、日曜日とか、仕事がない日はもともとリラックスしているはずなのに、たばこが吸いたくなりますね。
離脱症状はたばこを吸えば治まるけれど、時間がたてばまた同じ症状が起きる。そして解消するために、またたばこを吸う…。たばこでリラックスできているのではなくて、むしろたばこを吸うことでリラックスできない状態やストレスを作り出しているともいえるんですよ。
おいしいと感じたり、リラックスできると感じたりするのは、たばこに騙されているってことなんですね。
でも、その気になればいつでもやめられますよね?
やめたいと思っている人は少なくないのよ。厚生労働省の調査※でも、たばこをやめたいと思う人の割合は 28.9%で、男性では26.1%、女性では39.0%の人が禁煙したいと思っているの。
だけど禁煙は簡単ではないわ。以前にある企業が行った調査では、禁煙に取り組んだ人で3ヶ月以上続いた人はなんと2割程度だったのよ。半数以上の人は2週間未満でまたたばこを吸ってしまったわ。
※厚生労働省:平成29年国民健康・栄養調査結果の概要
■ 禁煙を続けられた期間
※ファイザー製薬「喫煙に関する47都道府県調査2016」よりグラフ作成
でも、僕の友達ですぐやめられた人もいます。
その友達は依存度が低かったのかも。ニコチンへの依存度は人によって違いがあるんです。依存度の高い人は禁断症状が起こりやすいので、どちらかというとたばこをやめにくく、依存度の低い人は禁断症状が起こりにくいので比較的やめやすいのよ。
依存度が高いかどうか、どうやってわかるんですか?
たとえば、たばこの本数や朝起きた後たばこを吸うまでの時間、病気や体の具合が悪い時でもたばこを吸うかどうかなど、いくつかポイントがあって、それである程度依存度の高さが分かる。でも、依存度が低くても高くても、たばこが麻薬並みにやめにくいものだということに変わりはないんですよ。
■ タバコ依存度チェック
※参考:一般社団法人日本呼吸器学会
マインズ先生のまとめ
今回のポイントをまとめてみましょう。
たばこ自体がおいしいのではなく、ニコチン受動体から出るドーパミンによっておいしく感じているんです。
つまり、たばこのおいしさやリラックス効果は、ニコチンに騙されているだけだということを、まずは知ってください。
麻薬並みに依存性のあるたばこを一人でやめるのは難しいと思ったら、禁煙外来の受診も選択肢に入れてみてくださいね。
たばこ自体がおいしいのではなく、ニコチン受動体から出るドーパミンによっておいしく感じているんです。
つまり、たばこのおいしさやリラックス効果は、ニコチンに騙されているだけだということを、まずは知ってください。
麻薬並みに依存性のあるたばこを一人でやめるのは難しいと思ったら、禁煙外来の受診も選択肢に入れてみてくださいね。
禁煙外来編の次回は、「タバコを吸いだしたきっかけって?」をお届けします。お楽しみに!