教えて!マインズ先生教えて!マインズ先生

Vol.2

乳房のタイプや年齢でマッチした検診を受けよう

前回、マインズ先生に乳がん検診についての疑問や不安を相談したあゆみさん。
先生のお話を聞いて乳がん検診を受診することに決めました。
そこで今回は、自分に合った乳がん検診について、
詳しいお話を聞かせてもらうことになりました。

乳がん検診にはマンモグラフィー以外にどんなものがある?

あゆみさん

マインズ先生、乳がん検診って、マンモグラフィーの他にどんなものがありますか?

マインズ先生

マンモグラフィーの他には、基本的な問診や、視触診、それに超音波を使った乳房超音波検査などもあるわ。

あゆみさん

全部受けなきゃいけないのかしら?

マインズ先生

問診や視触診は基本的に必要よ。でも、視触診だけでは精度が低いから、併せてマンモグラフィーも行うの。乳房超音波検査を併せて受ける人もいるわ。

あゆみさん

乳房超音波検査って、どんな人が受けるんですか?

マインズ先生

マンモグラフィーは、死亡率減少効果がある検査として認められているけれど、高濃度乳腺だとマンモグラフィーでは乳がんを発見しにくいことがある。そんな時、超音波検査をするの。

あゆみさん

高濃度乳腺って、胸が大きいとかそういうこと?

マインズ先生

いいえ、乳房のタイプの1つで胸の大きさとは関係がないわ。実は、乳房には4つのタイプがあるの。

乳房の4つのタイプと高濃度乳房(デンスプレスト)の特徴

マインズ先生

乳房は主に脂肪組織と乳腺組織でできていて、乳腺組織の量が多い順に、高濃度、不均一高濃度、散在性、脂肪性という4つのタイプに分けられるの。

散在性、脂肪性の2つのタイプは中高齢や高齢女性に多く、マンモグラフィーでも乳がんが比較的見つけやすいわ。
高濃度、不均一高濃度の2つの乳房はデンスプレストと呼ばれ、欧米人と比べると日本人に多いタイプ。ある県のデータでは40歳代で60%、50歳代でも40%がデンスブレストに該当しているの。※1
そして、デンスブレストは乳がんリスクが高い可能性も指摘されているわ※2。でも、マンモグラフィーでは乳がんが見つけにくいことがあるのよ。

年齢による乳房タイプの割合

年齢による乳房タイプの割合

あゆみさん

どうしてマンモグラフィーでデンスブレストの乳がんが見つけにくいんですか?

マインズ先生

マンモグラフィーでは乳腺組織も乳がんも白っぽく写るのでがんを判別しにくいというのがその理由よ。
でも、乳房超音波検査なら乳腺は白く、乳がんは黒く写るから発見しやすいの。

 

マンモグラフィーと乳房超音波検査のメリットとデメリット

あゆみさん

マンモグラフィーと乳房超音波検査にはそれぞれ長所と短所があるってこと?

マインズ先生

そういうこと。まず、マンモグラフィーのメリットとデメリットを見てみましょう。

  • 〈マンモグラフィーのメリット〉
  • ・視触診だけで発見できない「しこり」や石灰化した小さな乳がんを発見できる
  • がんを判断できる精度が80%前後と高く※3、死亡率減少効果が証明されている。
  • 〈マンモグラフィーのデメリット〉
  • ・放射線の少量の被ばくがある
  • ・乳房を挟んで検査するので人によっては痛みを感じることがある
  • ・デンスブレストの人や若い人の場合、がんが判別しにくいことがある

マインズ先生

ただし、デメリットの放射線や痛みについては前回説明したように、あまり心配する必要はないわね。
次は、乳房超音波検査。エコー検査とも呼ばれていて、「しこり」が良性か悪性かといった診断にも使われているの。メリットとデメリットは以下の通りよ。

  • 〈乳房超音波検査のメリット〉
  • ・痛みや放射線被ばくがなく、体への負担が軽い
  • ・デンスブレストの人や若い人への検査に向いている
  • 〈乳房超音波検査のデメリット〉
  • ・死亡率減少効果があることが証明されていない

マインズ先生

検査の特徴に応じて、自分に合った検査を受けることが大切ということね。

乳がん検診は若いときから受けるべき?

あゆみさん

若い人に向いている検査があるなら、30代ぐらいの若いうちから乳がん検診を受けておけば安心ですね?若い人の乳がんも増えているそうだし。

マインズ先生

若い人の乳がんの患者が増えているのは、全体的に乳がんになる人が増えているからよ。年代別の罹患率でみると、40歳未満の罹患率は全体の4.5%程度と低いの。
それに、乳がん検診は大事だけど、検診を受けることによるデメリットもあるわ。

  • 〈若い人が乳がん検診を受けることによるデメリット〉
  • ・乳腺濃度が高い人が多く、マンモグラフィー検査の有効性が低い

若い人は乳がん検診よりも毎月1度、生理が終わったらセルフチェックをするのがおすすめね。

 

あゆみさん

正しい知識を得て、必要な時期に検診を受けるのだが大事なんですね。

マインズ先生

その通り。それと、乳がん検診をきっかけに他の病気が見つかることもあるわ。

あゆみさん

乳がん以外の病気が見つかる?

マインズ先生

甲状腺がんなどが見つかるケースも多いそうよ。

 

あゆみさん

乳がんと甲状腺がんって関連があるの?

マインズ先生

関連ははっきりしていないけど、アメリカでは乳がん患者は甲状腺がんの発症リスクが高いという報告もあるわ。※5

 

あゆみさん

そうなんですね。乳がん以外にもいろいろと調べたくなってきたかも。

マインズ先生のまとめ

マインズ先生

では、今回のポイントをまとめてみましょう。

  • 乳がん検診にはマンモグラフィー以外に、乳房超音波検査もある
  • 乳房には乳腺組織の量の違いで4タイプがある
  • 乳腺濃度が高い2タイプをデンスブレストといい、乳がんリスクが比較的高い
  • デンスブレストの人はマンモグラフィーの他、乳房超音波検査も受けるのが望ましい
  • 40歳未満は乳がん検診よりもセルフチェックがおすすめ
  • 乳がん検診で乳がん以外の病気が見つかることもある

 

  • 乳がん検診にはマンモグラフィー以外に、乳房超音波検査もある
  • 乳房には乳腺組織の量の違いで4タイプがある
  • 乳腺濃度が高い2タイプをデンスブレストといい、乳がんリスクが比較的高い
  • デンスブレストの人はマンモグラフィーの他、乳房超音波検査も受けるのが望ましい
  • 40歳未満は乳がん検診よりもセルフチェックがおすすめ
  • 乳がん検診で乳がん以外の病気が見つかることもある

 

乳がん検診では、乳房のタイプや年齢に応じて受けるべき検査に違いがあります。
まずはマンモグラフィーで自分の乳房のタイプを知り、医師と相談の上、自分に合った検査を受けましょう。

> 乳腺ドックの詳しい情報はこちら

次回は、「乳がんになりやすい生活習慣をしていませんか?」をお届けします。お楽しみに!

※1 参考 厚生労働省 高濃度乳房について「乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の 適切な情報提供に資する研究」班
※2 参考 日本乳癌学会 乳癌診断ガイドライン
※3 参考 乳がんサーベイランス・コンソーシアム 2009
※3 参考 日本対がん協会
※3 参考 独立行政法人国立がん研究センター「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン」
※4 参考 厚生労働省「全国がん罹患数 2016年速報」
※5 参考 米国内分泌学会「Surveillance, Epidemiology, and End Results 9(SEER 9)」